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リヤカーと

場所:ギャラリー悠玄 [京都] 会期:2020.08.25 - 2020.09.06

去年の冬に古書店で『遠野物語の原風景』(内藤正敏 著 ちくま文庫)という本を買ったまま、積みっぱなしになっていたのを、コロナの渦で社会が騒がれ始めた春先に時間ができたので読んでいた。その中で遠野地方の葬祭屋の使っていたという霊柩車へと改造されたリヤカーの話が合った。リヤカーという運搬の道具に装飾性や死の意味をもたせた違和感と見栄えは印象に残った。
四月頃、米国ニューヨーク市ブルックリンの葬儀場近くのトラックから液体が漏れている通報を受けた当局が調べたところ、大量の死体が安置されていたというニュースを目にした。
医療体制が崩壊した中で業者が処理しきれなくなった死体の一時保管庫として冷蔵トラックを使用しており、そのうち一台は冷蔵機能がない状態で使用されていたという。
 ここで記された関係なさそうな事象をつないだのは皮肉にもパンデミックの下の世界だった。この短い期間で「死」の輪郭がはっきりして、普段何気のない道具などが、更新された意味を与えられる現場を多く見たような気がするし、これからも(しばらく)それが日常に変換されていくのかもしれない。

※本事業は「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う京都市文化芸術活動緊急奨励金」の採択事業です。

ギャラリー悠玄の展示スケジュール