個展のメリット&デメリット

個展のメリットは、なんといっても一つの空間を、自由に使ってて展覧会をプロデュースできることです。一つの展示空間を、自分だけの世界に染める上げることができます。作品展示においては、自分の作品だけでなく、その作品の周囲の環境も非常に大きく影響します。その点において、干渉するものを排除できる個展は、「自分の個性を強く出したい」「誰にも、何にも邪魔されずに伝えたいことがある」といった、作り手の強い意図がある場合には、ベストな選択と言えます。

また、グループ展に比べて、たくさんの作品を展示できるのも個展の特徴です。作品の販売をする場合は、出展する作品数が多い分だけ販売できるチャンスも広がるわけですから、販売に重きを置く場合にも、個展のほうがメリットは大きくなります。

ただし、そのようなメリットがある一方で、当然ながら開催に関わる費用は、すべて個人持ちとなり、負担は大きくなります。また、会期中に毎日在廊しなければいけないギャラリーでは、その間の予定を開けておく必要もあります。普段、仕事で時間を自由に調整できない方は、スタッフさんが管理をしてくれるギャラリーを利用するのがよいでしょう。作品の数や制作物の大きさによっては、搬入・搬出時の作業が一人では難しいこともあります。そのような場合には、搬入・搬出時だけ、友人に手伝いを頼むなどの工夫が必要になってきます。

グループ展のメリット&デメリット

グループ展の大きなメリットポイントは、他の作家さんの刺激を直接受けられるところです。自分以外の人が、どのような姿勢で制作に取り込んでいるのかを感じることのできる機会は、学生などでもない限り、なかなか多くないものですし、一人で制作をしていると自分の作品を客観的に見る機会がどうしても少なくなってきてしまうものです。グループ展の開催を通じて、他の作品と並べることで、自分一人では気づかなかったことが見えてくることもあるでしょう。

もう一つの大きなメリットが、人脈形成です。ガイドマップに紹介されているような有名・人気のギャラリーならばアマチュアの方や学生の展示でも知らない人がふらりと訪れてくれることはありますが、交流にまで至ることは多くはありません。もちろん個展を通じても、新たな仲間や知り合いに出会えますが、グループ展では知り合える人の幅がさらに広がります。これはグループ展でないと享受できないメリットでしょう。

一人の人脈には限りがありますが、主催者が複数になるグループ展は、関係者の数も主催者の数だけ広がります。つまり、グループ展は知らない人の目にも留まりやすくなるのです。作家としての活動を、これからもっと広げていきたい場合や、今まで自らの作品を見たことのない人に評価をしてもらいいたい場合などにも、グループ展の開催は効果的だと言えます。

グループ展のデメリットを挙げるとすれば、個展の場合と反対に、さまざまな場面で、他の作品の影響を受けてしまうことが避けられないという点です。来場者には、自分の作品の鑑賞に没頭してもらうことは難しいですし、特にインスタレーションのような作品で、光や音を空間演出として使いたい場合や、部屋全体の明るさを調整したいときなどは、他の出展者との調整が難しい場合もあります。

グループ展は、ただ単に複数の人で展示をするというのではなく、出展者全員で協力して一つの展示を完成させるという意識を忘れないことが大切です。制作の前に、ある一つの共通のテーマなどを決め、企画としての統一性を持たせることも、グループ展を成功させるポイントとなるでしょう。