レンタルギャラリーとコマーシャルギャラリーの違い

ギャラリーの運営元はギャラリーごとに違うため、料金体系や運営コンセプトは千差万別ですが、展覧会のプロデュース方法によって大きく2タイプに分類できます。その2タイプとは「レンタルギャラリー」と「コマーシャルギャラリー」とそれぞれ呼ばれます。

レンタルギャラリーとは、「期間貸し」を行っているところで、例えば「5日間で○万円」といった形で、スペースを使わせてくれるギャラリーです。貸し画廊、貸しギャラリーなどとも呼ばれます。展覧会の内容やコンセプト、また開催期日を出展者自身で決められるので、展覧会を総合的にプロデュースしたいときに向いています。自分でやることは多くなりますが、期日と使用ルールさえ守れば、自由な形式で個展・グループ展を行えますので、ギャラリーデビュー時にはレンタルギャラリーを使うといいでしょう。作品販売の手数料を無料としているレンタルギャラリーも多くあります。

期間と料金はギャラリーによってまちまちです。短いところでは1日単位から、長いところですと1カ月単位のところもあります。立地や広さによって、金額も一定ではありませんが、地域別の一覧でだいたいの相場を確認することはできますから、参考にしてください。

コマーシャルギャラリーとは、別名「企画ギャラリー」「画廊」とも呼ばれ、アーティストの作品販売が経営の主眼となっているギャラリーを指します。この場合、展示のプロデュースと運営はギャラリーが主体となり、有名アーティストや、新進気鋭の若手アーティストの個展などが行われます。そのため、有名なコマーシャルギャラリーでは期間貸しはほとんど行われず、年間を通じて、ギャラリーによる企画展が開催されます。コマーシャルギャラリーでの企画展で展示をするには、企画者の「目に留まる」ことが、第一のハードルと言えます。コマーシャルギャラリー、そして企画展のもう一つの重要な役割は、新たなアーティストを発見し、育て、商業的にも自立させることです。そのため、契約の形も異なります。レンタルギャラリーの場合はいわば「物件の期間賃貸契約」になりますが、コマーシャルギャラリーでの契約は、作品販売時の利益配分を決める「売買契約」や「マネジメント契約」を結ぶことになります。作品の販売価格も、主催者のギャラリーが決定するケースが一般的です。一言でギャラリーと言っても、経営の手法が大きく異なる点を念頭に置いておきましょう。

基本的に2つのタイプがありますが、最近では、その2つを融合した「企画展&期間貸し」形態で運営するギャラリーもあります。」ある期間はギャラリー主催による企画展、またある期間は期間貸しのレンタルギャラリーとして展示を行う」といった形式や、「レンタルギャラリーとしての料金を割り引く代わり、作品販売売り上げの○○%をギャラリーに支払う」「販促費(DMやWebページ制作費)はギャラリー負担、開催日や最終日のパーティー費用は出展者が負担」などといったように、ギャラリーと出展者でリスクを分散したり、利益をシェアしたりする契約形態です。

無料で借りられるギャラリースペースも

ギャラリー以外でも、展示を行えるスペースはいくつもあります。公民館や役所・役場の展示室など、公共機関の貸しスペースは、その自治体に居住している人や、通勤・通学している人を対象に、一般的な施設よりも割安な料金で借りることができます。また、ギャラリーのような展示ができるカフェも。こちらは、期間貸しやドリンクチケットを指定枚数購入するとギャラリーとして借りられる契約になっているケースが多いようです。また、無料で貸し出しを行っているギャラリーもあります。

金銭的なリスクが小さい分、レンタルギャラリーと比べて制限も多いですが、演劇のゲネプロのような感覚で、レンタルギャラリーを借りる前に一度使ってみて、展覧会の実践的なシミュレーションを行うのにもいいでしょう。