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山口史男 作品展「コラージュ~写真と版画の狭間に~」

場所:京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスク [京都] 会期:2023.02.14 - 2023.02.19

京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスク 2階展示室にて、2023年2月14日(火)から2月19日(日)まで、山口史男 作品展「コラージュ~写真と版画の狭間に~」を開催します。


私のコラージュ作品は、今までのところすべて私自身が撮影した写真を素材にしており、私に潜在する記憶と作品表現に切り離すことができない関連があります。コラージュ作品をモニター上で合成する際も、言語化されてない潜在的な記憶が影響しているようにも感じます。意図的な説明的な画面構成を試みている訳ではなく、数多くの写真ストックから直感にしたがって選択し、そのまた一部を切り取り合成作業をしています。例えば夢の世界には、時間や場所に関わりないイメージが同時に現れ、そこでは過去に体験したことが意識から解き放され浮かび上がってきます。写真を撮影した時、必ず何らかの記憶がストックされ、その多くは忘れていますが、どこかに潜在的な記憶として残っています。コラージュ作品は、そのような個人的な体験の再生過程で生じるもののように思います。

私のコラージュ作品は、おもにヨーロッパで撮影したモノクロ写真を素材として、フォトショップのレイヤー機能を利用し合成する方法で始めました。なぜヨーロッパの写真を材料としたのかといえば、非日常的な世界を表現したかったからです。コラージュ技法は、いくつもの素材となる画像を用いてひとつの画面を構成することで成り立っています。したがって実際に目にしている世界と異なる世界が表現され、本質的に非日常的な空間が形成されます。その後森や樹木などの自然を素材とした写真をもとにコラージュ作品を制作し、さらに抽象的な表現に近づいています。

これはリアリズムを基本とする写真とは異なり、版画というイメージを優先する表現に興味を深めたことと関連しています。写真家にも非演出的なリアリズム表現を目指す在り方と、主観的な表現を重視する写真家とがいます。コラージュとなれば、さらに主観的な表現に傾くことになります。

今回の展示のほとんどは、写真製版によるオフセット・リトグラフであり、一部にデジタルプリントを使っています。リトグラフは、版画技法のひとつですが、写真との関係が深く、インクのもつ物質感は、インクジェットと違った表現が可能です。すべての作品は、おもに版画で用いられる自然素材の用紙(ベランアルシュ)にプリントしました。

写真撮影からプリントまで、伝統的な技術から現代的なデジタル技術まで、さまざまな技術を駆使することで写真表現の可能性が広がります。

京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスクの展示スケジュール